「Uber Eatsの配達員はもう不要になるのか?」UberとStarship Technologiesの提携ニュースを見て、そう不安を感じた方も多いでしょう。
このページでは、いよいよ始まる始まるロボット配達の全貌と、日本への影響、そして私たち配達員が生き残るための具体的な「生存戦略」を徹底解説します。
ウーバー×Starship提携の衝撃!ロボット配達はいつから始まる?
フードデリバリー業界に激震が走りました。2025年11月末、ウーバー・テクノロジーズ(Uber)と自律走行ロボット大手のStarship Technologiesが、ついに本格的なパートナーシップを結びました。
自立型配送ロボットを使った配達はこれまでも実験的な導入はありましたが、今回の提携は規模と本気度が違います。
配達員としてまず押さえておきたいのは、「いつ、どこで、どれくらいの規模で始まるのか」という事実関係です。漠然とした不安を持つ前に、まずは敵(あるいは新しい相棒?)の正体を正しく知りましょう。
2025年英国、2027年米国へ拡大。日本での本格導入は?

発表されたプレスリリースによると、この新しい配達エコシステムは、まず2025年12月に英国のリーズでスタートします。その後、2026年には複数の欧州諸国へ展開され、2027年には米国へと拡大される計画です。
ここで気になるのが、「日本はいつなのか?」という点です。今回の発表に日本の具体的なスケジュールは明記されていません。しかし、欧州での導入が「初」である一方、米国や日本ではすでに他社製ロボット(Serve RoboticsやAvride、Cartkenなど)による導入実績や実証実験が進んでいます。
日本では2023年3月に東京、11月には大阪でCartken製の「Model C」デリバリーロボットが導入され、すでに街中を走り始めた経緯があります(といってもほぼ見かけない)
今回のStarshipとの提携が即座に日本市場へ影響するわけではありませんが、グローバル展開の流れを見る限り、世界では数年以内に複数のロボットが稼働する「マルチロボット時代」が到来するのは確実と言えるでしょう。
レベル4の自律走行とは?Starship製ロボットの驚くべき性能
今回導入されるStarship Technologiesのロボットは「レベル4」の自律走行能力を持っています。これは、特定の条件下(この場合は歩道走行など)において、人間の介入なしに完全に自律して走行できることを意味します。
スペックを見てみましょう。
- 配達範囲: 最大2マイル(約3.2km)
- 配達時間: 30分以内
- 実績: 7カ国で900万件以上の配達を完了
- 稼働数: 2,700台以上のロボット群
- 横断回数: 1日約10万回の道路横断
特筆すべきは、2マイル(約3.2km)という距離です。これは、自転車やバイクの配達員が担当することの多い「ショート案件」「ミツオ(320円)」の距離と完全に被っています。
しかも、ロボットは文句も言わず、雨の日も風の日も稼働し続けます。Starship社は最近5,000万ドルの資金調達を行い、総額2億8,000万ドル以上の資金を持つ巨大企業です。
この技術力と資金力が、Uberのプラットフォームと統合されるとなると、これは物流インフラそのものが書き換わるレベルの変革の可能性を否定できません。
これは以前に日本で試験導入された時のポンコツ配送ロボットとは違うものになります。
「配達員の仕事はなくなる?」最大の懸念に対する真実
配達員の方々が最も恐れているのは、「自分の仕事がロボットに奪われ、収入がゼロになること」でしょう。結論からすると「仕事はすぐにはなくならないが、仕事の中身は変わる」というのが大方の予想になっています。
なぜ「なくならない」と言い切れるのか。それは、現状のロボットには決定的な弱点があり、とくに日本では人間にしかできない領域が確実に存在するからです。

ロボットができること、人間にしかできないことの決定的な違い
Starshipのロボットは優秀ですが、万能ではありません。彼らが得意なのは、「整備された歩道を、人混みを避けて、指定されたポイントまで移動すること」です。逆に言えば、以下のことは現時点では非常に困難です。
- 階段の上り下り: エレベーターのない団地の4階まで商品を運ぶことはできません。
- オートロックの突破と館内移動: 管理人の許可が必要な複雑なタワーマンションや、電波が届かない施設の中を自力で進むことは不可能です。
- 細やかな「置き配」対応: 「ドアノブにかけてください」「宅配ボックスに入れてください」「ガスメーターの中に隠してください」といった、人間ならではの臨機応変な対応はできません。ロボットは基本的に「建物の前」や「指定された路上」まで来て、注文者が取りに来るのを待つスタイルが基本です。
- 汁物の安定性: いくら性能が良くても、段差の衝撃でスープがこぼれるリスクは人間以上にシビアかもしれません。
つまり、ロボットは「路上での受け渡しが可能な、平坦なルート」に特化した存在が現在の状況です。
これ以外にもピックアップにおける難易度もあり、いわゆる面倒な場所にある店舗では店員が配達ロボが待機している場所まで持っていくことになります。
池袋・新宿・渋谷の繁華街を配達ロボが安全に走行できるとも思えません。
短距離はロボット、長距離・難所は人間という「棲み分け」の未来
この特性を踏まえると、未来のデリバリー地図が見えてきます。それは「棲み分け」です。
- ロボットの領域:
- 片道1〜2km以内のショート案件
- 注文者が外まで取りに出てこられる戸建てやオフィス前への配達
- ファーストフード店からの単品配送など、軽微な荷物
- 人間の領域(配達員):
- 3km以上のロング案件
- オートロック付きマンションの玄関前までの配達
- 階段が必要なアパートへの配達
- 大量の注文や、崩れやすい料理の配達
- 悪天候時(ロボットのセンサーが天候で機能低下する場合)
このような役割分担が明確になると、「ショート案件で件数を稼ぐ」というスタイルの配達員にとっては、確かにライバル出現となりますが、逆に言えば「面倒なショート案件」をロボットが引き受けてくれることで、人間はより単価の高い案件に集中できる環境になる可能性もあります。
ロボット導入で「報酬・稼ぎ」はどう変わるのか
外的要素(ロボット導入)が私たちの財布事情(収益)にどう影響するのか、費用対効果の視点で分析します。
「ショート案件」が減り、効率は上がる可能性も
多くの配達員にとって、単価300円(スリコ)320円(ミツオ)で数キロ走らされる案件や、待ち時間の長いショート案件は悩みの種でした。もし、これらをロボットが担ってくれるならどうなるでしょうか。
ロボットが「安価で短距離の配送」を一手に引き受けてくれれば、人間の配達員には「人間が運ぶべき、付加価値の高い案件」が回ってくるようになると考えられます。
結果として、1件あたりの平均単価が上昇するシナリオも考えられます。
また、ピークタイムの「鳴らない」時間帯の解消にもつながるかもしれません。注文が殺到しすぎて配達員が足りない(配達員不足)状況では、Uber側は機会損失を防ぐためにロボットを投入します。
これにより、プラットフォーム全体の信頼性が上がり、注文数そのものが増えれば、結果的に配達員たちへのリクエストも安定する…というかロボットができない領域は人間を使うしかないでしょう。
難易度が高い案件を高単価で人間がやるならアリ
現状のウーバーイーツオペレーションは、簡単な配達だからといって低単価ではなく、高難易度の配達だから高単価ではないといった現状があります。
ここが非常に問題となる部分であり、歴が長い配達員はリクエストを見た時点で見積もり時間・距離・単価・難易度を即座に判断します。さらに受けたけど内容を詳しくみると大量案件だったり面倒なタワマンだったりすると受けキャンもします。
だったらロボットによる自動配送をスタートした場合、最初から高難易度の案件は高単価で人間が配達…といったオペレーションにすれば配達員はウーバーイーツを見限らない選択をするのではないでしょうか。
そこでロボットが導入されてる世なのだから人間配達員は最低賃金で…となると、それこそ人間配達員はいなくなり、ロボットが届けられる場所の客しかウーバーイーツを使えないような流れになってしまうでしょう。
Uberが目指すのは「人件費削減」か「配達員不足の解消」か

Uberの意図を読み解くことも重要です。Uberの自律部門責任者サーフラズ・マレディア氏は、自律配達を「将来戦略の重要な部分」と述べています。
ここで重要なのは、Uberの業績です。参考情報にある通り、Uberの第3四半期の総予約額はコンセンサス予想を上回り、配車成長率は22%増と絶好調です。株価もアナリストが目標を引き上げるほど評価されています。
資金力のあるUberが目指しているのは、単なる「配達員への報酬カット(コスト削減)」だけではなく、「爆発的に増える需要に対して、供給(配達手段)を安定させること」としています。
人間だけでは賄いきれない需要をロボットで補完し、エコシステム全体を拡大する。その拡大したパイ(市場)の中でなら、人間の配達員も十分に稼ぎ続ける余地は残されているとの見解です。
日本における法整備の問題
道路交通法の一部を改正する法律(令和4年法律第32号。以下「改正法」という。)等の施行により、これらのロボットを対象とする「遠隔操作型小型車」に係る規定が整備され、都道府県公安委員会に届け出た上で遠隔操作型小型車を遠隔操作により道路において通行させることができることとされました。
この改正はLOOPが世に出てきた時と同時期で、当時はLOOPに対する批判が多くロボットを対象とする遠隔操作型小型車にはあまり注目が集まっていませんでした。
しかし2025年11月になると、高性能な人型ロボットの登場や、中国では既に稼働している自動配送車などがニュースとなり、いよいよな流れを感じているドライバー業の方が多いのも事実です。
生き残る配達員になるために!今からできる対策
環境が変わるのをただ待っていてはいけません。ロボットと共存し、あるいはロボットに勝つために、意識すべき「生存戦略」をぼんやりでも考えておく必要があります。
自動化時代に価値を高める「ホスピタリティ」と「対応力」
ロボットには絶対にできない最大の武器、それは「感情へのアプローチ」や「複雑な問題解決」です。
- 丁寧なコミュニケーション: 商品を受け渡す際の一言、メッセージ機能での丁寧な連絡。これらはロボットにはない温かみや、ロボットが現金案件に対応できるのか?といった問題を含みます。
- ラストワンマイルの精度: 複雑な住所を的確に見つけ出し、お客様の手元まで確実に届ける能力。日本でも東京において、これは高度なスキルです。
- トラブル対応: お店での待ち時間や商品の破損など、トラブルが起きた際に人間なら柔軟に交渉や判断ができます。
これからの配達員は、ただ運ぶだけの「運送屋」ではなく、接客業に近い「サービス提供者」としての意識を持つ人が生き残るかもしれません。
「ロボットよりあなたに届けてほしい」と思われるようなプロ意識が、AI時代における最強の防具…つまり人間が運ぶことが付加価値となるといった考え方になります。
お客様評価が重要?
今後、日本においても自動配送ロボットによるフードデリバリーが始まった際、重要になる可能性があるのが配達員評価の満足度ではないかと言われいます。
これは人による配達の付加価値を測る目安になるでしょうし、満足度が50%以下の配達員ならロボットのほうがいいや…となるのも当然です。
人間かロボットか選べるようになると、この評価はさらに重要になってくるのではないでしょうか。
Uberの株価・業績から見るプラットフォームの将来性

最後に、投資家目線(費用対効果)でUberというプラットフォームを見てみましょう。 InvestingProのデータによれば、Uberは公正価値をやや下回る水準で取引されており、アナリストは収益予想を上方修正しています。これは、Uberという会社自体が今後も成長し続ける可能性が高いことを示唆しています。
プラットフォームが成長するということは、仕事の総量は増えるということです。Getirとの協議によるトルコ事業の拡大など、グローバルな動きも活発です。 「Uber Eatsはオワコン」などという意見もありますが、成長する企業のパートナーといった自覚を持ったほうが精神的に楽だと思います。
同時に、Uber以外のプラットフォーム(ロケットナウ・出前館・Woltなど)にも登録し、リスクヘッジをしておくことも、賢いフードデリバリー配達員の戦略です。
ロボットは「敵」ではなく「相棒」になる未来
- UberとStarshipの提携により、2025年から欧米でロボット配達が本格化する。日本への影響も時間の問題かも?
- ロボットは「近距離・平坦・単純」な配達に特化し、人間は「長距離・複雑・丁寧」な配達に特化する「棲み分け」が進む可能性
- 単純な仕事は減るかもしれないが、人間ならではのホスピタリティや対応力の価値は相対的に高まる可能性
- Uberの業績は好調であり、市場全体が拡大することで、プロ意識のある配達員には依然として稼ぐチャンスがある。
ロボットの登場は、私たちから仕事を奪う「終焉の合図」といった見解があるのも事実です。しかし変化を恐れてもどうのもならないので、ロボットにはできない「人間力」を磨くこと。それこそが、これからのフードデリバリー戦国時代を生き抜く道かもしれません。


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